風船
【投稿者:いちか&ばちか】
ある時、どこかで子供が、優しいおじさんに風船を貰いました。
風船は、まるで生き物のようでした。
風船は、守護霊と言いました。
子供は、風船が大好きでした。
風船も、子供が大好きでした。
子供は、お父さんやお母さんよりも、風船が大好きでした。
風船は、子供がこちらを向いている限り、愛し続けました。
子供も、風船も、たった一本の糸で繋がれただけでしたが、
それで十分お互いに、お互いを愛していました。
子供も随分成長してきました。
子供は、この頃から風船よりも、好きなものが出来ました。
それは「友達」でした。
風船は、浮かんで、ただ、子供を愛していただけでした。
でも、友達は言葉を沢山喋ってくれます。
見たこともないオモチャも貸してくれるのでした。
友達は、とても良い人でした。
でも、友達は風船を持っていませんでした。
ある日、友達が子供に言いました。
「君の片方の手は、ずっと何かを掴んでるね。一体何を掴んでるの?」
子供は答えました。
「風船だよ。生まれたときからずっと一緒に居てくれるんだ」
友達には、子供の風船が見えませんでした。
ですので、優しい友達は可哀想に思って、こう言いました。
「僕には、そこに風船は無いように思うよ。
でも、僕にとっては君は大切な友達なんだ。
だから、その風船の手を離して、その手で僕の手を繋いでよ。
僕はずっと君の友達でいたいんだ」
子供は、その言葉がとても嬉しかったのでした。
そして、風船の手を離して、友達の手を取りました。
一本の糸で繋がれた風船は、もう見えなくなってしまいました。
子供は、友達に言いました。
「あ、風船なんて、無かったね。だって見えないんだもの」
友達は子供が正気に戻ったような気がして、
その日から二人はとても仲の良い親友になりました。
あんなにも大好きだった、風船は、空高く舞い上がり、
もう、子供からも、風船からも、お互いが見えなくなってしまったのでした。
少し時間が経ち、子供はもう、大人でした。
でも、とても苦しんでいました。
幼い頃からの親友だった人と、会社を作ったのですが、
事業に失敗してしまったため、多くの借金に追われていました。
親友は、優しい人でしたので、自分に多くの保険金をかけて、
自殺してしまったのでした。
それでもまだ、借金は残り、大人になった子は苦しんでいました。
親友も亡くなってしまい、子は毎日が苦しくて苦しくて仕方がありませんでした。
そんな時、ふと、あの時手放した風船を思い出しました。
毎日が、あまりにも苦しいので、現実逃避したくなったのです。
でももう、風船はその子の事が、全く分からないくらい、
空高く舞い上がってしまっていました。
風船は、子供が自分の手を離した時から、子供の事が心配で心配で、
毎日が悲しかったのでした。
風船は、泣いていたのでした。
でもそれは、手を離した子供には、見えませんでした。
風船は、地表近くを飛ぶ、渡り鳥にお願いしました。
渡り鳥の名前は「補助霊」と言いました。
渡り鳥は、時々、風船に子供の状態を伝えるのでした。
子供は親友が大好きだと言うお話を、風船に伝えました。
風船は、子供が親友を好きでも、いつかまた、
風船の事を呼ぶ日が来るのを待っていました。
でも、ある時、渡り鳥は言いました。
「すいませんが、どこにいるのか、見失ってしまいました」
もう、子供が風船の事を呼ぶ日は来ませんでした。
風船は、悲しくて、苦しいのでした。
風船は、辛うじて地球の周りにいました。
子供が、苦しんでいないか、辛くないだろうか、そんな事を考えては、
子供の行く先を考えては絶望して、涙を流すのでした。
ある時、宇宙の星が言いました。
「どうしてそんなに泣くのか?」
風船は、宇宙の星に事情を話しました。
宇宙の星は、風船のお話を聞き、考えました。
宇宙の星は、ある時、地上に星を送る事を考えました。
でも、そのままでは地球は壊滅してしまいます。
ですので、遠くから、星を送る事にしました。
送られた星は、途中にある無数の星々にぶつかり合い、削られて削られて、
どんどんと小さくなっていきました。
星は、きっと痛かったに違いありません。
でも、それよりも、見失ってしまった子供達と、風船との愛を取り戻す事が、
星にとっては大切でした。
星は、「キリスト」と名乗られました。
星は痛い思いを散々して、風船には行かれなかった、地表に到着しました。
でも、地表に到着した星は、もう、
石ころくらいの大きさになってしまっていたのでした。
ただ、宇宙で散々に削られたので、ピカピカに光っていました。
ですので、拾い上げた人が、特別な石だと思ってくれました。
石は、光っていました。
その石は、不思議な石でした。
石を一目見たいと、人々は集いました。
石には、沢山の風船の糸が繋がっていました。
あの時の風船も、その石に繋がっていました。
石が、風船の糸を巻き込んで地表に来てくれたので、また、風船は地表に戻れました。
沢山の人々が、その石から、風船を貰っていきました。
人々は幸せでした。
貰われた風船も、幸せでした。
風船は、もう悲しまずにすんだからです。
不思議な石は、まるで優しいおじさんのようでした。
人々に、風船との間を取り持ってくれていたからです。
ただ、あの時の子供は、そこに居ませんでした。
せっかく不思議な石のおかげで地表に来れたのに、
あの時の子供だけが来てくれないのでした。
風船はまた、とても悲しい気持ちになりました。
実はもう、あの時の子供は、苦しみの中で、
親友の後を追って自殺してしまっていたのでした。
風船は、それを知りませんでした。
少し経ってから、風船は、不思議な石から糸を切り離され、
今度はもう、地球が見えないほど、遥かに遠くへと飛んでいくのでした。
風船は、今までよりも、もっと悲しむのでした。
風船の名前は「守護霊」と言いました。
おしまい。
今、苦しむあなたの風船は、どこにありますか?
風船は、あなたを探しています。
不思議な石は、今、各支部会、分会にあります。
今度こそ、守護霊と、あなたが、愛で繋がれますように。
もう二度と、その手を離しませんように。
支部会、分会の見学は無料です。ぜひ、いらしてください。
この記事の物語は、霊魂学を学ばせて頂いた、
未熟者の私達の作った創作話ですが、師が、事実を元に、
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